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休業手当(平均賃金60%以上)の計算方法について

先程、「休業手当」を支払う場合について解説しましたが、今度は「休業手当(平均賃金60%以上)の計算方法」についてご説明します。
労働基準法第26条では、「使用者の責めに帰すべき事由」により労働者を休業させた場合には、使用者は、その休業期間中、平均賃金の60%以上の休業手当を労働者に支払わなければならないとされています。
この「平均賃金」とはどのような計算方法なのかといいますと、下記の①と②の平均賃金の計算方法で比較し大きい数字の結果を優先させます。

 
① 原則
休業期間初日の直前の賃金締切日から遡る3か月間の「賃金の総額」を「総日数」で除した賃金。

 

平均賃金=直前3か月間の賃金の総額(総支給額)÷直前3か月間の総日数(総日数)

 

例:Aさん(時給2000円×1日8時間×毎月20日間勤務=毎月賃金32万円)末締め翌月25日支払いの企業で令和6年4月5日に休業手当の必要な休業が発生した場合の4月5日の平均賃金(原則)
1月25日支払い:32万円・・・この給与は12月分の労働分の給与の為暦日数31日
2月25日支払い:32万円・・・この給与は1月分の労働分の給与の為暦日数31日
3月25日支払い:32万円・・・この給与は2月分の労働分の給与の為暦日数29日

 

(32万円×3ヶ月分)÷(3ヶ月の暦日数合計91日)=10549.45円…原則の平均賃金

 

② 最低保障(日給・時給・出来高給の場合)
「賃金の締切日から遡る3か月間の賃金の総額」を「その期間中に労働した日数」で除した金額の60%。

 

最低保証額=直前3か月間の賃金の総額(総支給額)÷直前3か月間の労働日数×0.6

 

例:Aさん(時給2000円×1日8時間×毎月20日間勤務=毎月賃金32万円)末締め翌月25日支払いの企業で令和6年4月5日に休業手当の必要な休業が発生した場合の4月5日の最低保証額
1月25日支払い:32万円・・・この給与は12月分の労働日数20日分
2月25日支払い:32万円・・・この給与は1月分の労働日数20日分
3月25日支払い:32万円・・・この給与は2月分の労働日数20日分

 

(32万円×3ヶ月分)÷(労働日数20日×3ヶ月の60日間)×0.6
=9600円…最低保証額

 

Aさんの場合①の10549.45円と②の9600円を比較し、①のほうが高い金額のため
休業手当の計算のもとになる平均賃金は①10549.45円をベースにします。
ちなみに、円未満(50銭以上未満での)の端数は四捨五入します。
つまり4月5日のAさんの休業手当は
10549円×60÷100=6329.4円・・・6329円・・・Aさんの4月5日の休業手当

 

①と②の計算方法で平均賃金を算出し、
その額の60%以上の休業手当を労働者に支払わなければならないとされていますが、
例えば、丸一日休業したのではなく、半日や数時間のみ休業した場合も
1日分の60%以上の休業手当が必要なのかと言いますと、そうではありません。
その日の労働で発生した賃金額が休業手当の額を下回る場合には、差額分を休業手当として支払う必要があります。
つまり1日分の休業手当を算出し、その日働いた分の賃金を、先に算出した休業手当から差し引きます。
よって、もしも1日の60%以上は休業せず労働してもらった場合(例えば1日8時間勤務の会社では4時間48分以上は普通に勤務した場合等)は休業手当は必要ないことになります。

 

こちらも算出方法や休業手当の有無について判断が難しいことがございますので、
お困りになられましたら、事業所の管轄労働基準監督署や弊社にぜひご相談下さい。

 

松尾倫加

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