「社会保険適用促進手当」について
9月に政府より、パートやアルバイト等で働く人が「年収の壁」を意識しないで働ける環境づくりを支援する「年収の壁・支援強化パッケージ」が発表されました。
そこで、今回は年収106万円の壁対策の一つである「社会保険適用促進手当」についてご案内いたします。
①社会保険適用促進手当について
社会保険適用促進手当とは、社会保険に加入することで給与等の手取り額が従前より減少する場合に、会社が支給する社会保険料 相当額分の給与(手当)が「社会保険適用促進手当」です。
利用すれば、「社会保険適用促進手当」の手当額分の社会保険料が免除されることになります。
最大2年間が対象期間となり、
対象者は下記4つ全てを満たしている方が条件となります。
(い)社会保険の被保険者が101人以上の会社(2024年10月~51人以上の会社)
(ろ)標準報酬月額104,000円以下
(は)社会保険に加入する(既に加入している)
(に)社会保険適用促進手当が支給されている
※新たに社会保険に加入する労働者がいない事業所でも、既に社会保険に加入している労働者に対して 社会保険適用促進手当を支給すれば、手当分を保険料の算定から除くことが可能です。
②メリットとデメリットについて
会社側のメリット
・従業員の就業調整(働き控え)を防ぐことができる。
・社会保険料負担が若干軽減される。
会社側のデメリット
・手当分と社会保険料の人件費が増加する。
・社会保険適用促進手当を受ける人と受けられない人との間で不公平が起こる。
従業員側のメリット
・手取りが減らずに社会保険に加入することができる。
従業員側のデメリット
・2年間に限定されている。
③ポイント
会社が人材・労働力を確保するための国の支援制度は、今回の他、キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)もあります。支援を活用する場合は、各支援内容を確認し、利用する上での手続き等も含め、メリット・デメリットを理解して活用を検討してください。
④社会保険適用促進手当の支給イメージ
東京都にある会社に勤めている40歳以上の介護保険加入者の例
(各都道府県によって保険料が違いますhttps://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r05/r5ryougakuhyou3gatukara/)
時給1150円の週20時間勤務の人が本来支払わなければならない社会保険料(健康保険+介護保険+厚生年金保険)は16,566円になるところ、
会社負担14,758円分が手当として補填されるため、差額分1,808円が減ります。
ご不明な点がございましたら是非、弊社プライマリ社会保険労務士法人までお問い合わせください。
松尾倫加