夜勤のパートタイマーの方の有給休暇付与はどうするか
弊社は医療系介護系社会福祉系の企業様の労務管理を多くご依頼いただいております。誠にありがとうございます。
介護士や看護師の方々は夜勤も伴う職業なので、その場合、パートタイマーで働いている方の比例付与をどう計算するかというご質問をしばしば頂きます。
ちなみに比例付与とは、通常の労働者(フルタイム勤務の人)は入社後継続勤務した日の全労働日の出勤率8割以上の場合6ヶ月経過日に10労働日付与され、その後1年毎に付与されるのが通常ですが(※1)
この通常の労働者(フルタイム勤務の人)は1週間の所定労働日数が5.2日なので、パートさんが週何日で勤務されているのか
「5.2対パートさんの週の労働日数=10対エックス」で比例計算することから比例付与と言っています。
このときのポイントですが、夜勤は専従なのか、日勤シフトもあり、臨時的なのか、という点です。
出勤率を算出するための1日の労働をどの様にカウントするかは
夜勤専従者と臨時的に夜勤をされる方で、考え方が違うのです。
労働日及び年次有給休暇につきましては、通常、暦日0時から24時を1日としてカウントします(労働基準法代32条代2項)
しかし夜勤専従者の場合には例外的に勤務時間を含む連続した24時間を1労働日として扱います。
よって、
例えば週1日、夜勤専従、という契約内容で働かれる人は、
5.2対1=10日対エックス
エックス=10÷5.2
エックス=1.9(1日未満の部分は切り捨てます)
つまり、入社後継続勤務8割以上出勤された場合1日の有給休暇が付与されます。
では、賃金はどうするのかという疑問が出てきます。
たまたま夜勤の人だから夜勤分の深夜割増も含めて賃金を支払っている場合、それも加味すべきなのか、という問題です。
夜勤専従車の場合の有給休暇中の賃金については、実は、明確な法令による定めが無いため
一概にお答えすることは困難なのです。
しかし私見を申し上げますと、通常の労働時間帯の賃金となる夜勤の賃金で支払う方が労働者の納得も得られやすく、気持ちよく働いて貰う事が出来ますのではないかと思います。
よって、私のお客様にもそのようなご案内をしております。
次に、昼勤シフトと夜勤シフトがある勤務形態において、夜勤シフトのときに年休を請求した場合は、深夜の割増賃金を支払う必要があるのでしょうか?
実はこちらも法律に明確に定められていないのですが、
通達で、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金には臨時に支払われた賃金、割増賃金の如く所定時間外の労働に対して支払われる賃金等は算入されないものであること(※2)」というものがあります。
この割増賃金の如く、つまり深夜残業手当、深夜業の割増賃金という理解になりませんでしょうか。
ということで、日勤と夜勤をどちらも行っている様な労働者の場合、その日の有給休暇取得時は通常の労働時間帯の賃金で良いかと考えられます。
細かいお話はここでは避けますが、
1日のカウントは、法律で定められており、時と場合によって、法律によっても違います。
ややこしいので、迷った場合は必ず弊社へご相談ください。
(※1)各企業さまの福利厚生で付与時期、付与日数が違う場合もあります。
(※2)昭和27.9.20基発第675号
松尾