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【2026年10月最新】クリニック開業規制はどうなる?意向確認の実態と今後の見通しを行政書士が解説

プライマリ行政書士法人の新井です。

 

2026年4月に施行された改正医療法により、医師が多い地域でのクリニック新規開業に新しいルールが加わりました(いわゆる「開業規制」、外来医師偏在対策)。

 

当法人にも「東京都内で開業する場合、手続きはどう変わるのか?」「今、何か提出しなければいけない書類はあるのか?」といったご相談が連日寄せられています。

本記事では、公的資料で確認できる「事実」、当法人が業務の中で得た「現場情報」、行政書士としての「推測」をはっきり分けて解説します。

 

  1. 【事実】改正医療法による新しいルールの概要
    ① 「外来医師過多区域」の指定
    都道府県知事は、外来医師が特に多い地域を「外来医師過多区域」に指定します。厚生労働省が示した候補は、次の9圏域です。

 

・東京都: 区中央部・区西部・区西南部・区南部・区西北部(千代田区、中央区、港区、文京区、台東区、新宿区、中野区、杉並区、目黒区、世田谷区、渋谷区、品川区、大田区、豊島区、北区、板橋区、練馬区の17区)

・大阪府: 大阪市

・京都府: 京都・乙訓

・兵庫県: 神戸

・福岡県: 福岡・糸島

候補圏域の全部を指定するか、一部だけを指定するかは、各都道府県が判断します。

 

② 開設6か月前までの事前届出
外来医師過多区域で診療所を新規開設する場合、開設予定日の6か月前までに、提供する予定の医療機能などを都道府県に届け出る必要があります。

 

③ 求められる医療機能
都道府県は、地域で不足している医療機能の提供を求めることができます。主な例は次のとおりです。

 

・夜間・休日の初期救急医療(在宅当番医、休日・夜間急患センターへの出務など)

・在宅医療

・学校医・予防接種などの公衆衛生に関わる医療

・医師が少ない地域での診療支援

 

④ 応じない場合の措置
正当な理由なく求められた機能を提供しない場合、次のように段階的な措置がとられます。

 

1.地域の「協議の場」への参加と、理由の説明を求められる

2.期限を定めて、不足する医療機能の提供を要請される

3.都道府県医療審議会で説明を求められ、勧告や公表の対象となる

4.保険医療機関の指定期間が、通常の6年から3年(状況によっては2年)に短縮される

 

⑤ 事業承継・法人化・移転などの扱い
親の急逝による事業承継など、やむを得ない場合は事前の届出義務が一時的に猶予されます(承継後にあらためて届出が必要)。なお、個人のクリニックを医療法人化(法人成り)する場合や、近隣への移転、他院との合併についても、実質的な「新規開設」として届出の対象とする方向性が厚生労働省の検討会等で示されています。これらに関する詳細な要件や運用は、今後の省令・通知等で確定する見通しです。

 

  1. 【事実】改正前から行われている「協力意向の確認」
    今回の改正法とは別に、一部の自治体では以前から「外来医療計画」に基づいて、新規開業者に地域医療への協力意向を確認しています。(以下、一例です。)

・東京都: 開設後おおむね1か月以内に、都の所定様式「地域医療への協力意向の確認について」を、東京都保健医療局(医療政策課)へメールまたは郵送で提出します。地域医療への協力に合意しない場合は、地域医療構想調整会議への出席や発言を求められることがあります。

・北海道(札幌圏域): 2022年4月以降の新規開設が対象です。開設届を出す際に、「外来医療機能に関する意向調書」を保健所へ提出します。不足する外来医療機能を提供する意向がない場合は、その理由(例:対応できる診療科ではない、必要なスタッフを確保できない)を記載します。提出された内容は、地域医療調整会議に報告されます。

なお、札幌圏域は今回の「外来医師過多区域」の候補には含まれていませんが、札幌市で開業する場合は、上記の意向調書の提出が引き続き必要になります。

 

  1. 【現場情報】東京都の今後の運用見通し
    2026年10月20日現在、東京都から新ルールの具体的な運用指針はまだ公表されていません。
    当法人が都内で開業支援業務を行う中で、都内の保健所担当者から伺った話では、今後の運用は次のような見通しです。
    (※正式に公表された内容ではなく、今後変わる可能性がある点にご注意ください)

・適用の時期: 東京都が指針を公表してから、その6か月後以降に開設するものが事前届出の対象になる見込みです(法律上の「開設6か月前までの届出」が必要とされていることと整合します)。

・窓口と審査: 届出の窓口は管轄の保健所ですが、実際の審査は東京都が行う見込みです。

・求められる協力: 休日・夜間急患センターへの出務などの夜間・休日当番をはじめ、地域医療への具体的な協力が求められると考えられます。

 

  1. 【推測】今後の開業実務への影響
    ここからは、上記の事実と現場情報をもとにした当法人としての「推測」です。

 

【推測1】「協力しない」という選択の重みが増す
協力に合意しない場合、協議の場や調整会議での説明が求められ、指定期間の短縮という不利益もあります。そのため、開業前から行政・地域医師会との関係づくりがこれまで以上に重要になると考えられます。協力できない場合でも、事業計画の段階から理由を整理しておくことが大切です。

 

【推測2】東京都の指針公表後、開業を急ぐ動きが出る
指針の公表から6か月以内の開設が対象外となる見通しであれば、公表直後から物件契約や開設準備を急ぐ動きが増える可能性があります。人気エリアでは、テナントの確保がこれまで以上に難しくなることも考えられます。

 

【推測3】開業スケジュールに余裕が必要になる
6か月前の届出に加え、保健所(窓口)と東京都(審査)の両方とのやりとりが発生するため、従来よりも準備期間を長めに見ておく必要があると考えられます。

 

【推測4】事業承継でも「規制がない」とは言えない
既存クリニックの承継(M&A・居抜き)への関心は高まると見込まれます。ただし、1章⑤のとおり承継や法人化も原則として手続きの対象になり得る方向性であるため、「承継・移転なら手続きが不要」とは限りません。これらを検討する場合も、早い段階で手続きの要否を確認することをおすすめします。

 

まとめ:開業準備は早めの相談がカギです
外来医師過多区域の候補地域で開業する場合、書類を出すだけでなく、「地域医療への協力をどう示すか」「行政とのやりとりにどう備えるか」という視点が欠かせなくなっています。

 

プライマリ行政書士法人では、各自治体の最新様式への対応はもちろん、保健所や都道府県との事前協議のサポート、地域のニーズを踏まえた事業計画書の作成まで、一貫して支援しております。
「協力意向の確認書類にどう書けばいいか分からない」「自分の開業計画は新ルールの対象になるのか?」とお悩みの先生、事務長は、ぜひ当法人にご相談ください。

 

新井 健郎

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