年収の壁について
最近、テレビニュースでも度々取り上げられており、
「年収の壁」という言葉を耳にされた方も多いかと思います。
この年収の壁は、税法上の年収の壁と社会保険上の年収の壁があり、
100万円、103万円、106万円、130万円、150万円および201万円の壁があると言われることが多く、
これらのうち、106万円および130万円の壁が社会保険の壁と言われています。
そこで、この社会保険に係る年収の壁について解説します。
[1]年収106万円の壁
106万円の壁とは、従業員数(厚生年金保険の被保険者数)51人以上規模の企業で勤務するパートタイマー等が、社会保険(健康保険・厚生年金保険)へ加入する年収額のことです。
一般的に年収106万円と表現されますが、正確には年収で判断するのではなく、
「月額賃金8.8万円」で判断します。
この月額賃金を年収換算(8.8万円×12ヶ月)したおおよその額が106万円であり、
年収の壁として表現されています。
なお、社会保険への加入は、月額賃金以外にも「週の所定労働時間が20時間以上であること」といった要件があるため、
月額賃金8.8万円以上となったとしても、週の所定労働時間が20時間未満であれば原則として社会保険には加入しません。
この年収106万円ですが、基本給や諸手当は106万円にカウントする収入ですが、
結婚手当等の臨時に支払われる手当や、
家族手当・通勤手当(最低賃金において参入しないことを定める賃金)、
割増賃金部分(法定外労働時間等の割増賃金や休日労働した場合の割増賃金、深夜労働の手当)、
賞与、
その他不動産収入は含めません。
[2]年収130万円の壁
年収130万円は、原則として60歳未満の人が、家族の健康保険の扶養(配偶者の場合には国民年金の第三号被保険者)として認定を受けられる基準の年収額のことです。
年収130万円以上となると、
扶養として認定を受けることができないため、
国民健康保険に加入し保険料を支払うことになります。
また、国民年金の第三号被保険者は第一号被保険者となり、
これまで直接支払う必要がなかった国民年金の保険料の支払う必要が出てきます。
この年収130万円ですが、
基本給や諸手当、家族手当・通勤手当、割増賃金部分(法定外労働時間等の割増賃金)、賞与、その他不動産収入、事業収入や配当収入
すべてを収入としてカウントすることに注意が必要です。
[2]年収の壁を超えることの影響
社会保険に係る年収の壁は、壁を超えることにより、社会保険料の新たな負担が発生することになり、本人の手取り額が減ることになります。
所得税に係る年収の壁は、この点で大きく異なると言われています。
※詳しくは、以下をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
松尾倫加