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2023.09.25

始業前の準備時間は労働時間か否か?

私が大学生の頃、日本料亭にてアルバイトをしていた時、制服がお着物だったため、着用に慣れる迄は準備に1時間もかかり、入社して6ヶ月間位は勤務開始の1時間前から着替えのために料亭に行っていました。でも、その間の時給はありませんでした。

これは法違反でしょうか、合法なのでしょうか?

仕事を開始する前に、事前に準備をしないと仕事自体ができないという業種が多く存在し、例えば、日本料亭のお着物の例で挙げたような接客業における制服着用、工場現場における作業着の着用義務付けなど、労働時間の開始前に準備が整っているというのが、一般的だと思われます。

 

この時に問題となるのが、これらの作業するための準備時間は、賃金支払い義務のある労働時間となるのかという点です。

労働時間は、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」とされています。(判例:三菱重工長崎造船所事件)

そして、ここでいう指揮命令下に置かれている時間というのは、黙示的に指示されたものも含まれ、 裁判例においては、「準備行為等が事業所内において行うことを使用者が義務付けられ、または余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情がない限り、使用者の指揮命令に置かれたものと評価することができる」と述べています。

つまり、ポイントは『会社内において、準備行為を義務付けているかどうか』ということになります。

仮に、自宅で制服を着用する等、準備行為自体可能であって、特に会社内で準備することを指示していない限りは、たとえ会社内で準備を行っていたとしても、労働時間とはなり得ないということになります。

したがって、このような場合は残業代あるいは割増賃金等の支払いは必要ないということになります。

しかし、工場における安全具等の着用時間は、たとえ明確に指示がなかったとしても、安全を確保をする上で必要不可欠なものですからこれは労働時間と判断される可能性も十分にあると思います。

私の日本料亭でのアルバイトのお着物着用は、料亭のロッカールームで着替えるよう上司から命じられておりましたので、つまりは賃金支払い義務のある労働時間であったと言えます。

例えば、始業前にラジオ体操や、朝礼ならどうなのでしょうか?

もちろん、参加が義務付けされていた場合、労働時間となります。

そして、飲み会やレクリエーションも全員参加が義務付けされた場合、職務命令となるため労働時間とカウントしなければなりません。

ここでの重要なポイントですが、「表立って強制しなければ良い」と曲解してはいけません。

最高裁判決では使用者に義務付けられた場合と、その行為を余儀なくされた場合を指揮命令下に置かれていたと判断しています。

次のような場合は任意参加と言えなくなります。

(因みに、実質的に強制させることを黙示の指示と言います。黙示の指示は下記のようなことから法の下で客観的に判断されます。)

・参加しないと社内で孤立させられる、または孤立させられるような風潮がある

・参加しないと評価が下がる、または下がるような風潮がある

 

逆に下記のような事例であれば賃金支払い義務のある労働時間と認められません。

・会社で任意参加のラジオ体操をしているが、自分は家でラジオ体操をしている

・家で出社の準備をする

・朝、会社とは無関係の勉強会に参加する

・上司に誘われて飲みに行く

 

始業前、及び就業後の労働時間はカウントされるかされないかはケースバイケースですが、注意しておかないと、未払い残業代等のトラブルに発展し易い内容なのです。

判断に迷われるなどございましたら、是非社会保険労務士へご相談下さい。

 

松尾倫加

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