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自然災害時の労務管理上の対応について

今日は2024年1月2日。
昨日は1月1日、石川県能登半島沖で大きな地震があり、東日本大震災後初めての大津波警報が発令され、今日のニュースでも大きく報道されております。
私が住んでいる滋賀県も長い時間揺れたので、怖かったです。
テレビ報道を見ていて、心が痛みました。
震災に遭われた方々のご無事を祈るばかりです。

 

昨今、地震に限らず、猛烈な台風や大雨による河川氾濫やがけ崩れなど、災害が多く発生しています。
日頃から被害に備えておくことはもちろんのことですが、自然災害による事業活動への影響の対策の必要性を改めて感じられている事業主様も多いのではないでしょうか。
もちろん問題は労務管理にも及びます。
そこで、今日は労務管理上の対応についてご紹介します。

 

【出勤命令か自宅待機か】
台風や地震などの災害発生時に出勤命令を出すか自宅待機や休業とするかは判断が分かれるところです。
しかし、無理な出勤を指示することによって安全配慮義務違反を問われる恐れもあります。

 
事業主様は、従業員様の生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう配慮する義務があります。(労働契約法第5条)
安全配慮義務を判断する3条件として、
(A) 予見可能性
(B) 結果回避義務
(C) 因果関係
この3つの観点から安全配慮義務違反を判断します。

 
事業主がこの義務を怠り、労働者に損害を生じさせたときは、その損害を賠償しなければならないこととされています。
さらに、この損害賠償は、労災認定による補償と並行して請求されることがあります。
大型の台風接近時に出勤を命じる際には、安全配慮義務の観点から「安全に出勤できるか」ということも考える必要があるかと思います。

 

【賃金保障について】
河川の氾濫や浸水などが起きると、操業停止や営業中止などにより、被災企業のみならず、関連する企業の事業活動にも多大な影響が及びます。
また、台風や地震などに被災した企業は、事業の休止や廃止を余儀なくされ、従業員様への対応で検討しなければならないこともあります。
労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」(第26条)と定めています(休業手当の支払義務)。
しかし、台風や地震といった自然災害は不可抗力であり、「使用者の責に帰すべき事由」には該当しません。
したがって、自然災害により事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、その結果、従業員様を休業させる場合は、原則として、休業手当の支払義務はないことになります。

 

★未払賃金立替払制度
労災保険に加入している企業で、被災したことにより、事業活動を停止し、再開の見込みがなく、従業員様への賃金や退職金の支払いが不能となるなど事実上倒産に至った場合には、
国が事業主様に代わって未払賃金の一部を立替払いする「未払賃金立替払制度」を利用することができます。(詳細については労働基準監督署に相談ください)

 

★非常時払い
労働基準法では、労働者が出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求した場合は、使用者は、賃金支払期日前であっても既に行われた労働に対しては賃金を支払わなければならない、と定めています(第25条)。
この規定は自然災害発生時にも適用され、休業手当の支払いの必要があるか否かを問わず、労働者から請求があれば、被災前の既往労働分に対する賃金の支払義務が生じます。

 

【被害が小さい場合等における遅刻・早退等の対応】
被害が小さかったり等出勤できそうな場合でも、自然災害による公共交通機関の乱れにより、従業員様が遅刻・早退したりする場合があります。
このような場合の賃金の取り扱いは、会社の定める就業規則によります。
原則として、早退などを命じた場合以外の時間については、
ノーワーク・ノーペイの原則に基づき時間相当分を控除することは違法ではありません。
しかし、こうした場合の遅刻の賃金控除は酷では、ということもありますので、遅刻扱いとはせず、賃金控除しないとする企業様は多いです。
なお、前述のような事情による欠勤について、年次有給休暇の取得を一方的に命じることはできません。
年次有給休暇は、原則として、労働者の請求を前提として付与するものです。
年次有給休暇の取得とする場合には従業員様と話し合わなければなりませんのでご留意下さい。

 

【復興のための時間外労働や休日労働について】
原則、従業員様に時間外労働や休日労働をしてもらう場合は、会社は「時間外及び休日労働に関する協定」(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。
しかし、災害その他避けることができない事由により時間外・休日労働をさせる必要がある場合は、36協定によるほか、協定がない場合であっても所轄労働基準監督署の事前の許可(事態が急迫している場合は事後の届出)により、必要な範囲内に限り時間外・休日労働をさせることができます(第33条)。 
したがって、36協定を締結していない場合であっても、被災した工場や店舗、オフィスなどの早期復旧のために従業員様に臨時的な時間外労働や休日労働をしてもらう場合、
または被災地域外の他の企業が被災地企業の協力要請に基づく支援に伴い時間外労働や休日労働を行う場合には、労働基準監督署に事前の許可または事後の届出をしておくことが必要です。

 

災害は起こらないことを強く願うばかりですが、
もしも起こった場合に備え、事前に対策を検討しておくことも重要かと思います。
就業規則や安全管理体制についてもご相談があれば是非弊社へご連絡下さい。

 

松尾倫加

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